“ブリッジ運動”のススメ ―野球に興味のない方は絶対に見ないでください―

リハビリテーション科の桐川です。

前回は“野球肘検診とは何か?”の記事を書かせていただきました。

今回も、野球に関しての記事を書いてみました。

野球をやっている方、子供が野球をやっているという親御さま、ただ野球が好きだ!という方は、ぜひともご一読ください。

投球動作で重要なのは

先に結論を言うと、ブリッジ運動”は投球動作で重要だと考えます。
特に投球動作における“胸の張り”を作るために必要な要素が詰まっています。

野球肩や野球肘の患者さんのフォームを観察していると、胸を張ることができていない方が多く見られます。
まず投球動作の簡単な解説から入ります。

投球動作時の肩のひねり

過去の研究では、投球動作時に身体に対して肩関節は約145°ひねられると報告されています。(図1)

図1 投球時の腕のひねり

さらにその内訳ですが、肩関節で約105°、肩甲骨で約25°、体幹で約10°、残りの5°は不確かですが肘関節がひねられているのではないかと考えられています。(図2)

各関節が互いをカバーすることで、投球動作という高い負荷の運動を行っています。

図2 投球時の肩のひねりの内訳

胸の張れていないフォーム

ここで、先程述べた“胸の張れていない”フォームとはどのようなものか見てみましょう。

図3左側の写真のような形では、おそらく肩関節・肘関節しか動いていないことが推測できます。

図3右側の写真のように“逆C字”ができれば胸が張れていると考えられます。

好きなプロ野球選手の連続写真などを見てみるとさらに参考になると思います。

図3 投球時の胸の張りの違い

 

ブリッジ運動

最後に、“ブリッジ運動”の有用性に関してお話します。

投球動作で重要な“胸を張る”ためにはかなりの柔軟性が必要です。肩関節、肩甲骨、体幹が大きく動く必要があります。これら柔軟性の確保に有用なのが“ブリッジ運動”です。

図4のように、キレイな“ブリッジ運動”を行うことができれば、投球動作で必要な柔軟性を確保できます。

図4 ブリッジ動作による“逆C字”

高校生野球選手を対象とした調査で、正常なブリッジ動作が可能な人は、肩関節と体幹の柔軟性が良好だったと報告されています。
また、球速・スピン量も多くなるとの報告も同時にされています。

是非、皆さんもブリッジ運動を行ってみてください。投げる前のウォーミングアップに組み込んでも良いかもしれません。
しかし、久々に行う方や、柔軟性に自信のない方、上半身や腰などに痛みやケガをされている場合は無理をしないでください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。