変形性膝関節症 Part1

こんにちは、理学療法士の安田です。

今回の内容は皆さんが一度は耳にしたことがある変形性膝関節症の概要について書きたいと思います。

そもそも変形性膝関節症とはなんでしょうか?

米国リウマチ学会診断・治療基準委員会では「関節軟骨の欠損的整合性に関連した関節症状や徴候へと導く状態の混成グループであり、付け加えて関節周囲の下層の骨の関連した変化」と定義しています。

...難しくて何を言っているかわからないですよね!

簡単に言い換えると関節軟骨の摩耗や変形だけではなく、関節周囲組織(関節を構成するもの)も含んだ変性(正常のものではなくなる)ということです。

発症部位は膝関節や股関節だけではなく脊椎・足関節・肩関節・肘関節も多く主に荷重関節(体重が乗る関節)に生じやすいと言われています。

発生要因は局所要因(身体の一部が崩れていること)と全身要因の2つに分けられます。

【変形性膝関節症の発生要因】
局所因子 全身因子
筋力低下 年齢
固有受容感覚低下 性別
動揺性 人種
下肢アライメント 遺伝子
外傷 代謝性疾患
肥満 生活様式
骨粗鬆症 運動歴

では、本題に戻ります。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は荷重関節で最も発生頻度が高い関節軟骨の退行性疾患(加齢と共に生じる変化のこと)です。

症状としては

  • 腫脹(腫れのこと)
  • 関節痛
  • 拘縮(組織が硬くなること)

があり、高齢者の日常生活と生活の質を妨げる要因が最も多くなっています。

異常なメカニカルストレス(押し付ける力や糸など引っ張り続ける力など物理的に刺激のことです)が加わることで変形の進行や症状が生じやすいと言われています。

『変形性膝関節症の保存療法』より

ところで、皆さん変形性膝関節症と聞いて何を思い浮かべますか?

おそらく、、、、

  • O脚
  • 軟骨がすり減る
  • 水が溜まる

などと思います。

この中で少し間違っていることがあります

それは、軟骨がすり減るということです。

軟骨はすり減るのではなく溶ける?

軟骨はすり減るのではなく、溶ける・破壊されるということです。何が違うの?と思った方が多いと思います。軟骨の表面はつるつるしているため膝の内側でぶつかりあっても摩耗が少ないと言われています。

では、溶ける・破壊されるとはどういう事かというと代謝異常によって生じる現象と言われています。正常な軟骨はリモデリングという破骨細胞(骨を破壊して吸収する細胞)骨芽細胞(骨を新生して穴を埋める細胞)現象で正常に保たれています。

ですが、内側へストレスが生じることで代謝異常が起きます。

詳しく説明すると膝の安定性が崩れた時に起きると言われています。特に前後内外側への安定性が低くなると膝の安定性は崩れやすくなります。

では、膝の安定性が崩れる要因は何かというと最初の方で話した局所要因と全身要因になります。

【変形性膝関節症の発生要因】
局所因子 全身因子
筋力低下 年齢
固有受容感覚低下 性別
動揺性 人種
下肢アライメント 遺伝子
外傷 代謝性疾患
肥満 生活様式
骨粗鬆症 運動歴
『変形性膝関節症の保存療法』より

また、軟骨は血管・神経・リンパ管が通っていない組織のため痛みを感じる組織ではないと言われています。ただ、軟骨下骨(最下層に存在する軟骨組織のこと)というところまで溶けていくと痛みを感じる組織があります。

結局痛みは何?

ここまでの変形性膝関節症の話しで軟骨は痛みを発する組織ではないと分かったと思います。では結局、変形性膝関節症の痛みは何?って思う方もいると思います。

それについては次回に書こうと思います。ですが、少し痛みを発している組織を下記の図に載せておきます。

『変形性膝関節症の保存療法』より

最後まで見ていただきありがとうございます。

参考文献
変形性膝関節症の保存療法 山田英二 運動と医学の出版社