温泉大好き!!! ~温泉とその効果~

皆さん、こんにちは。

温泉や旅行が大好きな理学療法士です。

3月に入ったものの、まだまだ寒さも続き、温泉が私を呼んでいる……。

新型コロナウイルスによる感染も、再び拡大してきており、現在はなかなか以前のように温泉や旅行に行くことが難しくなってきています。

早く、この新型コロナウイルスも終息し、以前のように喜んで温泉や旅行に行けることを願いながら、今回は私の好きな温泉についてお話させていただきたいと思います。

では早速・・・

温泉とは

私達が何気なく入っている温泉にも、実は定義があるんです。

温泉とは、1948年に公布された温泉法で「地中から湧き出す温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とするガスを除く)で、含まれる物質として19種のうち1つ以上が定められた基準値を上回っているか、または水温が25℃以上」と定義されています。

温泉と聞くと、熱いお風呂を想像しますが、25℃以上あれば温泉と呼ばれるんですね。

世界一の温泉大国 、にっぽん

私達が極楽を求めて足を運ぶ温泉施設や温泉地の数は、実は私達が想像している以上にたくさんあるんです!!

令和元年環境省自然環境局の発表データによると、わが国には、

温泉源泉総数 2万7,969カ所

温泉地 2,971カ所(宿泊施設を伴うもの)

温泉施設 2万1,031カ所

あり、年間延べ宿泊者数 1億2,652万9,082

であるそうです。(2019年3月末時点)

ちなみに、現在温泉地の数は2010年度の3,185カ所をピークに毎年徐々に減り続けてはいますが、今のところ世界一となっています!!

ちなみに、皆さん 2 位はどこの国だと思いますか?

2位 中国 2,800カ所
3位 トルコ 474カ所
4位 アメリカ 400カ所

となっています。

皆さんは、この数を見てどう思ったでしょう。

日本の温泉地を47都道府県で割ったとすると、1都道府県平均で約63箇所の温泉地が存在するということになります。

1都道府県での平均と言っても北海道や沖縄等、色々な面で数の大小は様々あると思いますが、

私はこの数字を見て、他の国とも比較して多いなっっ!!と思いました。

これらのことからも分かるように、私達が住んでいる国、日本は世界一の温泉大国といわれています。

温泉の効果 って?

ではこれほどたくさんある温泉には、実際どのような効果があるか知っていますか?

温泉による医学的効果は、温泉の温度、物理作用、化学作用、環境効果など統合的作用からくる生体反応によるものです。

さらに、上記の物理作用や化学作用について詳しく見てみると、それぞれには下記のような生理的効果があります。

作用 生理的効果
物理作用 ①温熱作用 血管拡張
②浮力 体重負荷の軽減
③水の粘性抵抗 抵抗運動等
④静水圧 下肢浮腫改善
化学作用 含有成分の効果 塩類:皮膚皮膜形成し保温
CO2、H2S:皮膚投下し血管拡張
強酸性泉:アトピー性皮膚炎、湿疹への効果

温泉の生理的効果

ここで、温泉の医学的効果の中の物理作用について、簡単にお話しようと思います。

1.温熱作用

温熱作用の最大の効果は、血管が拡張し、血流が増加することで、血液循環が改善することです。

特に全身浴では、全末梢血管が拡張し、温められた血液が心臓へ還流し、再び循環して全身の各組織へ送られます。この過程でエネルギーが放散されることにより全身が温められます。

また、栄養や修復物質の含まれた血液が組織に到達し、滞っている老廃物が洗い流されます。 この循環改善が、創傷治癒の促進や、疲労回復、組織の再活性を促します。

温熱効果には、神経に直接作用し痛みを感じる神経が鈍くなり、痛みを緩和する作用もあります。

さらに温熱作用によりコラーゲン線維の伸展性が増えることから、入浴後に運動やストレッチをすることでその効果がよりupします。
筋や関節のこわばりも軽減します。

腰痛や脊柱管狭窄症による症状がある場合は、血管の拡張作用により血流が改善すること、温熱作用に含まれる疼痛制御の効果やコラーゲン線維が柔軟になることなどが合わさり、症状が緩和する場合があります。

加えて温熱作用には、筋緊張の低下や精神的なリラックス効果もあるとも言われており、神経症やうつ状態などの心理的ストレスの改善にも用いることが出来ると言われています。

2.浮力

人のからだの平均比重は、0.96と水よりやや小さいため、浮力がからだを上方へ押す力として働きます。

浮力が働くことで体重負荷が少なくなるため、筋力低下のある方などにとっては無理なく運動をすることができます。

また、腰痛や膝の痛みがある場合も、関節にかかる負担が少なくなるため、痛みを軽減させて安全かつ楽に運動を行うことができます。

3.浸透圧

浸漬した身体部位には,水の重さ分の圧迫(静水圧)がかかります。
この静水圧は、循環の促進、静脈やリンパ不全による浮腫の軽減に重要と言われています。
しかし、深さが増すごとに静水圧と腹圧上昇も加わって、心肺に強い負荷がかかります。そのため、心肺機能障害を有する方は、半身浴等にして、無理をしないように注意してください。

そうはいっても温泉って自宅のお風呂と何が違うの??

そうはいっても今まで述べてきた作用は、普通の自宅のお風呂でも効果があるんじゃないの?と考える方もいらっしゃると思います。

実はその通りで、これらの効果は(特に温熱作用)自宅での水道水のお風呂でもみられます。ですが、化学物質が溶けている温泉であれば熱の吸収が速いため温まりやすく、温熱効果はさらに高まり、抜群の効果を発揮すると言われています。(図1)

また、食塩などが溶けた塩化物泉では、塩類濃度が濃いほど身体に熱が伝わりやすく早く温まります。(図 2)

炭酸が溶けている炭酸泉では、炭酸に血管拡張作用があり、拡張した血管から熱が入りやす いため体温が上昇します。こちらも濃度に応じた血管拡張作用がみられます。(図 3)

このように、種々の化学成分を含む化学作用の観点から見て、温泉と自宅での水道水のお風呂は異なるということです。

最後に

私達が住んでいる日本には、たくさんの温泉があります。

温泉には先ほど述べたように、身体的にも精神的にもプラスになる効果がたくさんあり、治療や健康増進にも貢献します。温泉に入る際は、何も考えずに静かに入っているだけでも心身ともにリフレッシュでき、健康の促進にもなります。

新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたら、是非皆さんも温泉地に足を運んでいただき、これらの効果を実感していただけたら嬉しいなと思います。一緒に温泉を楽しみながら、今よりももっと健康的な身体を目指しましょう。

ちなみに、今私がコロナウイルスの感染が落ち着いたら行きたいなと考えている温泉は、千と千尋の舞台になったとも言われている、山形県の銀山温泉です。以前のように、温泉や旅行に行ける世の中に一刻も早くなってくれることを願っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

引用文献
・日本リハビリテーション医学会,温泉療法とリハビリテーション医療,松元秀次他
・日本温泉科学会第70回大会,温泉でも~っと健康になる,前田眞治