腕が挙がらない!その原因とは?
ぜんしん整形外科、理学療法士の綿貫です。
当院には肩関節に問題を抱えた患者様が多く来院されます。その中で多くの方を苦しめている症状の1つとして、腕が挙がらない、動かないといった、いわゆる『可動域制限』というのがあります。
肩関節はご存知の通りぐるぐる回すことの出来る関節の為、肩関節に問題を抱えその周囲の筋肉などが硬くなると容易に可動域制限が生じます。しかし、困ったことに動かす方向によって制限となる原因が異なるので、この体操をすればなんでも良くなるということはありません。問題となっている運動方向を特定し、その原因となる組織を明らかにすることが治療の第一歩と言えます。
今回は上の図の様な動作『前方挙上』についてお話していきます
前方挙上で動く関節
まず前方挙上を行うのに必要な関節はなんと5つもあります。
『肩甲上腕関節』『肩甲胸郭関節』『肩鎖関節』『胸鎖関節』『脊柱』
といったものです。
その為、単に『腕が動かない』といっても可動域制限がどこの関節で起きているかは詳細に身体の状態を診なければわかりません。
そこで我々は『肩甲上腕関節』と『その他の関節』と大別し考えていくのですが
これらの2つはおおよそ2:1の割合で動くとされています。
要は180度前方挙上する為には肩甲上腕関節が120度、その他の関節で60度動きますよ、といったことです。
どの関節もとても重要な関節であることは間違いないのですが、より可動範囲を占める割合が多い『肩甲上腕関節』についてみていきましょう
肩甲上腕関節の周りにある筋肉
肩甲上腕関節は肩甲骨と上腕骨でつくられる関節です。この関節の可動域を制限する組織は肩甲骨と上腕骨をつないでいる筋肉や靭帯となります。
全部で9つですね!多い!笑
ですが、すべての組織が原因となるわけではありません。ここで重要なのが運動方向となります。今回は前方挙上について考えると・・・
この辺りが硬くなると前方挙上制限が生じる可能性が高くなります。
そこにはなにがあるかというと
『小円筋』『上腕三頭筋』『大円筋』になります。
小円筋と上腕三頭筋と大円筋は3兄弟!?
3つの筋肉は解剖書で診てみると近しいとこにはあるものの別々の筋肉として記載されています。そこで当院の特徴の1つでもあります超音波診断装置(エコー)でこの筋肉を観察してみましょう。
3つの筋肉がなんとも仲良さそうに並んでいますね♪
実はこの筋肉達は筋膜といったもので連結しています。
その為、大円筋が硬くなれば上腕三頭筋が、上腕三頭筋が硬くなれば小円筋と大円筋がといったように、1つの筋肉が硬くなると隣り合った筋肉も一緒に硬くなってしまいます。
その為、可動域制限の原因として非常に多い場所です。
やってみよう!セルフケア!
① 上腕三頭筋のマッサージ
自分の肩を触るようにして肘を目の前ぐらいまで挙げます(挙がらない方は楽にあげられて保持できる高さ)
腕の下をつまむようにすると上腕三頭筋が概ね掴めます。そのまま左右に揺らしながら肩の方にずらしていき脇の下まで行います。
② 上腕三頭筋の筋収縮
① と同じ肢位から反対の手で前腕を押さえます。押さえた手を約30%の力で押し返します。このとき肘が伸びないようにしっかり押さえます。
以上を10回ずつぐらい行うと筋肉が柔らかくなります。
まとめ
今回は前方挙上における肩甲上腕関節の可動域制限についてお話させていただきました。肩関節は自由度が高い関節である分制限となる組織もたくさんあり、痛みに敏感な関節ですので一歩間違えると体操を行っているけど悪くなることはよくあります。
紹介した運動も痛みなく行うようにしてください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。