専門家が教える痛みのメカニズムと対処方法

こんにちは!理学療法士の加藤です。

私たち理学療法士が現場に出て、患者さんからの声として多いのが、

「痛みを良くしてほしい!!!」

です。

もちろん、私たちは痛みに対して可能な限り改善に向かうようなリハビリをします。

しかし、痛みの改善に向けて最も大事なことは、

自分が今の痛みのメカニズムを知り、対処する方法を身につけることです。

痛みってめちゃくちゃ複雑です💦

治療者がいかに頑張ってもなかなか上手くいかないこともあります。

患者さんとのやりとりの中で、一緒に痛みを解決する道を探していきたいと常に私は思っています。

そのためには、専門家のみでなく皆さんにも痛みについて知って欲しいです。

痛みに関して、超簡単にお話していきます。

是非、これを読んで痛みに悩まれている方は実践してみて下さい!(^^)!

痛みとは何でしょうか?

そこを突き詰めましょう!!

【痛みの定義を知ろう!】

痛みの定義:組織の実質的あるいは潜在的障害にもとづいて起こる不快な感覚・情動体験であり、それには体組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある

大事なのは、怪我による影響だけでなく不快な感覚や感情も痛みに関与するということです。

末端⇒脊髄⇒脳への痛みのネットワーク、加えて過去の経験や感情をすべて組み合わせて痛みを発しています。

つまり、人によって感じる痛みは同じ病名(例えば、椎間板ヘルニア)でも全く異なります。

【痛みってどうやって伝わるの?】

痛みの伝達:組織→末梢神経→脊髄→脳

痛みは、

  1. 痛みを感じる組織に刺激が加わる
  2. 一次侵害受容ニューロン(神経)
  3. 二次侵害受容ニューロン(脊髄)
  4. 三次侵害受容ニューロン(脳)

1⇒2⇒3⇒4へと信号が伝達されて、「痛い!」と感じます。

痛みの刺激は、末端で受けた反応が脳まで伝達されます。

脳には、痛みの強さを感じる部位や感情を司る部位があります。

そのため、日々の痛みの変化を感じることが出来、痛みによって不安・不快な感情になります。

【中枢性感作・末梢性感作とは?】

「原因」侵害刺激が断続的に加わる

中枢(脳)や末端(組織や神経)で痛みが敏感になっていることを中枢性感作・末梢性感作と言います。

専門用語を用いると、「侵害受容ニューロンが亢進して、痛みを感じる閾値が下がった状態」です。

なぜこんなことが起きるのでしょうか?

原因としては、「侵害刺激が常に加わるから」です。

そのため、手術直後や急に出現した痛みは早めに抑えることが大事です。

痛みがありながらも過度に負担をかけることは良くありません。
痛みに合わせながら負荷を調整することが必要です。
その部分に関しては、医師や理学療法士がしっかり目の前の方に説明していきます。

【自律神経と痛み】

交感神経優位だと痛みを感じやすいと言われています。

専門的には、

  • 侵害受容器の閾値の低下(末端での刺激に過度に反応する)
  • 交感神経と末梢神経の架橋(神経ネットワークが余計に出来てしまう)

上記が原因であると言われています。

なので、
ちゃんと眠れているか?
ストレスがあるか?
などを生活の中で感じているかはとても重要です。

自律神経のバランスが崩れていそうだなと自覚がある方は「ゆっくりとした呼吸」がおすすめです。

ゆっくりとした呼吸は副交感神経を優位にします。

【急性痛と慢性痛について】

急性の痛みと慢性の痛み

急性痛と慢性痛は全く痛みの質が異なるため、対処方法が異なります。

定義は、

  • 急性痛 組織損傷による侵害受容器の興奮
  • 慢性痛 組織損傷後できっかけは不明 3ヵ月以上超える痛み

です。

例えば・・・

腰痛 直後 「急性痛」……腰周辺の組織へのストレスが原因で組織損傷が治ればOK
腰痛出現3ヶ月後 「慢性痛」……損傷した組織は治ったけど、柔軟性や筋力といった身体の状態が十分な状態でなく痛みを誘発

このように痛みの感じるメカニズムが全く違うため、痛みが出現した時期やエピソードがととても重要です。

私たち専門家も、痛みに関する問診は丁寧にすることで痛みのメカニズムや治療のヒントを見出しています。

では、急性痛と慢性痛に対してどのように対処すれば良いのでしょうか?

【急性痛に対しての対処方法】

痛みが生じると不安も増えます。あまりにも不安の要素が増えると、人は動かなくなります。

すると、動かないことでの身体の機能(柔軟性や筋力など)が落ちます。

結果として、より痛みの出やすい身体になってしまう恐れがあります。

逆もしかりで、痛みが生じても今まで通り身体に負荷をかけ続けると炎症が改善されず、痛みが落ち着くどころか増すこともあります。

要するに、痛みが出てからの身体への負荷を調整することがとても重要です。

「痛みを出さないように最低限の活動をすることで、身体を程よく動かしておく」ことが
ポイントです。

【慢性痛について】

厄介なのが、この「慢性痛」です。

日本の国民病と言われる肩こりや腰痛は、身体の状態のみでなく職場環境や心理的要素など様々な要因が影響するため対処方法も難しくなります。

これが厄介な理由です。

肩こりや腰痛は、いくら技術が高い治療者がいても即時的な効果は得られるかもしれませんが、効果が長続きしません。

理由はシンプルに「自分の生活スタイルが変わらない」からです。

【慢性痛に対する対処方法】

3か月以上続く痛みは「慢性痛」と捉えましょう。

慢性疼痛の方は、痛みを引き起こす運動で恐怖を感じて動かなくなります。

また、運動を指導すると、やらなければいけいない気持ちが強くなり、やりすぎて身体を壊すこともあるのが難しいところです。

運動による失敗経験が積み重なると、「どうせ運動なんてしても変わらない」とういうマイナス思考に陥ります。

なので、自分の今の身体の状態にあった運動をすることがとても重要です!

そのなかで成功経験を積み重ねて、身体を良い状態に導くことで痛みの改善を図ります。

今行っている運動が正しいのかは、なかなか自分では判断出来ない部分もあります。

そんな悩みを抱えている方は、是非専門家に頼って色々教えてもらいましょう!

【最後に】

冒頭でも述べましたが、

我々は、痛みを解決しようと日々現場で皆さんと向き合っています。

手を使う治療もしますが、しっかりと日常でのケアの方法や生活におけるポイントもお伝えしています。

一時的に良くなったけど、効果が長続きしなければ意味がありません。

対処療法にならずに根本的に痛みを改善するためにも、痛みに関する知識を皆さんにお伝えさせて頂きました。

一人でも多くの方が痛みから解放されるよう願っています!

最後までお読み頂きありがとうございました。