人に最低限必要なコアトレーニング(後編)
ぜんしん整形外科、柔道整復師の橋本です。
前回のブログで「コア」の必要性や、「コアトレーニング」の目的などを中心にお話しました。
今回は「コア」の筋力低下から起こる、症状改善のための基礎的なコアトレーニングを説明していきたいと思います。
前回のブログを読まれていない方は、先に前編を読んでいただくと、トレーニングの内容を理解しやすいかと思います。
Draw in(ドローイン)
ローカルスタビリティ(深部体幹筋群)の収縮を狙ったトレーニングになります。
骨盤を安定させるローカルスタビリティ(深部体幹筋群)は、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜を指します。
ローカルスタビリティ(深部体幹筋群)の収縮は骨盤を安定させ、骨盤に付着する殿筋群(お尻の筋肉)の機能を正常に働かせるためにもDraw inは重要になってきます。
ローカルスタビリティの中でも「腹横筋」は動作に先行して収縮することで体幹を安定させる機能があります。この機能で腹横筋を収縮させると、必然的に骨盤底筋や多裂筋に収縮が入るので、ここでは腹横筋の収縮練習としてDraw-inを行います。
まずは膝を立てた仰向けの姿勢で痛みがなければ、その姿勢で行います。姿勢の目安として、手のひらが腰の下に入るくらいの姿勢から開始します。
この時に、手のひらを骨盤の上部にある、ズボンやベルトをひっかける部位の内側に置いておくと良いでしょう。
鼻から息を吸い、口をすぼめて息を吐きながら腹部を内側に引き込んでいきます。
息を吐き切る時に、ため息をつくように吐くと腹部が凹んでいくような感覚が得られやすいです。
息を吐き切った後に、手のひらを置いておいた骨盤の内側の部分に筋肉が動いているような感覚があればDraw inがしっかりできている状態になります。
息を吐くときに肋骨が浮き上がり、過剰に胸の方にひっぱられていったり、息を吸うときに胸の方が優位に膨らみ(胸式呼吸)、腰が反ってしまわないように注意してください。
また、仰向け姿勢が困難な方や、筋肉の動きを感じにくいという方は四つ這い姿勢がオススメです。
四つ這いでは臓器の重さで腹横筋が伸張されるので、筋肉が動いている感覚を得やすいことが多いです。
背中を脱力した状態から、鼻で息を吸い、息を吐きながら腹部を引き上げていくように行います。上手くできていると自然と多裂筋(背中側の筋肉)や骨盤底筋(肛門辺り)にも筋肉の動きが生じます。
力を入れて背中が丸まることがないように注意してください。
Draw inのポイントは、
- 肋骨を引き下げる
- 腰が動かないように保持する
- 腹部を内側(おへそを腰に近づけるイメージ)に引き込む
この3つのポイントを確認しながらドローインの練習を重ねましょう。慣れてきたら喋りながら息を吐いてDraw inが出来るようになると、動作時の安定性に繋がります。
Bracing(ブレーシング)
グローバルスタビリティの収縮を狙ったトレーニングになります。
このトレーニングのメリットは、呼吸で腹直筋(シックスパック)、外腹斜筋・内腹斜筋を意識的に筋収縮することが出来きます。
つまり、体を動かすことなく出来るので、腰などを痛めてしまっている方も取り組むことが可能です。
Bracingは腹部を横方向へ膨らませるトレーニングです。お腹の前側にある腹直筋だけが優位にならないように注意しながら、腹部を膨らませた状態をキープして息を吐いていきます。
Draw inの時と同様に、仰向きで膝を立てた状態で行います。
繰り返しになりますが、Bracingは腹部を横方向へ膨らますトレーニングになりますので、わき腹を押さえて息を吸いながら押し返すように膨らますとわかりやすいと思います。(肩関節を痛めている方は困難な場合があります)
息を吸ってわき腹を膨らますことができたら、それをキープしたまま息を吐けるようにしていきます。(お腹に力をいれたまま、風船を膨らますイメージ)
息を吸う時は前側だけでなく、横方向にもしっかりと息を溜めこむように膨らまし、息を吐くときもわき腹がしぼんでしまわないよう注意してください。
Bracingのポイントは、
- 息を吸うときはわき腹にもしっかり溜めこむ
- 息を吐くときはわき腹が凹まないように息を吐く
仰向き姿勢でBracingが出来るようになったら、会話しながら行ったり、座った姿勢や立った状態の動きのない状態から、徐々にその状態で足踏みしたりして、段階的に行うと良いでしょう。
Draw inとBracingの大きな違いはお腹の凹みです。
Draw inは息を吐きながら、腹部を内側に引き込んでいきます。
Bracingはわき腹が凹まないようにしながら息を吐きます。そのため、あまり腹部は凹みません。
下記にこの二つのトレーニングの動画がありますので、ご参考になれば幸いです。
まとめ
Draw inもBracingもそれぞれが「コア」に関わる重要なトレーニングになります。
家で例えるのであれば、家の大黒柱が「脊柱=背骨」で、それを支えるのが「ローカルスタビリティ」であり、家の外壁で大黒柱を支えるのが「グローバルスタビリティ」です。
どちらが欠けている、もしくはその両方が備わっていない家はとても脆いといっても過言ではありません。
年だからもう無理だと思っていらっしゃる方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、筋肉は体の中で唯一生涯鍛えることが出来る器官です。
もちろん、一度落ちてしまった筋肉を取り戻すことは、並大抵の努力では叶いませんが。それでもご自身で出来る範囲で継続していくことが大切であると思っています。
Z-fitnessでは一人ひとりに合わせたトレーニングを作成し、皆さんの目的・目標を達成するためのお手伝いをしたいと思っています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。