膝関節(鵞足炎編)
こんにちは、理学療法士の安田です。
前回は膝関節前面の痛み「膝蓋下脂肪体」をご紹介しました。【膝の痛みについて】
膝関節の前面ではなく内側の痛みの原因として、以下の組織の疾患が考えられます。
・鵞足
・内側の膝蓋下脂肪体
・内側半月板
・内側側副靭帯
以上の中でも、鵞足炎はランニングやバスケなど膝に負担のかかるスポーツで発症しやすい疾患ですが、高齢者の方も変形性膝関節症と一緒によく生じる疾患です。
今回は膝関節内側の痛みに多い「鵞足炎」をご紹介したいと思います。
鵞足
鵞足とは縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱が集まった場所(図1)で、鳥の足のように付着している事が名前由来となっています。この付着場所で炎症(伸長痛や滑走障害)が起きやすいと言われています。
余談ですが、鵞足を構成している筋の特徴について簡単にお話をしたいと思います。
縫工筋
1つ目は縫工筋についてです。
縫工筋は二関節筋(筋肉が二つの関節をまたいでいること)と言われ、骨盤から脛骨についている細長い紐状の筋肉です。膝関節の作用としては曲げる動作と脛骨を内側に動かすと言われています。また、縫工筋は膝関節の内側を支持するとも言われています。
薄筋
2つ目は薄筋についてです。
薄筋は恥骨結合というところから脛骨粗面内側に付着している筋肉で、内ももの中でも最も内側位置しています。薄筋も縫工筋と同様に二関節筋で膝関節の作用も同じになります。
薄筋は腱に沿って神経や血管網が発達しており疼痛を感じやすいと言われています。そのため鵞足を構成する筋の中で最も圧痛を多く確認することが出来ます。
半腱様筋
3つ目は半腱様筋についてです。
半腱様筋は坐骨結節から脛骨粗面内側に付着し鵞足を構成する筋の中で最も後方を通る筋肉です。作用は脛骨を内側に強く動かします。
余談はこれぐらいにしておき本題に戻ります。
痛みの多くは外傷(手術など)で生じますが、ランニングや長距離歩行・階段の降段で生じることも少なくありません。圧痛は鵞足部に局所的に生じます。好発部位(痛みのよく出る場所)は図2の赤丸で示したところになります。
鵞足炎を確認するには構成している筋を伸長させて状態を確認します。痛みが誘発されれば、鵞足炎である可能性が高いと言われています。また最近ではエコーでの確認も行います。ですが痛みがあっても炎症所見が取れない場合があります。(エコー画像)
自分でできる確認方法
痛みが出た場合に自分でも確認できる評価をご紹介します。
痛みがあるときのセルフエクササイズ
痛みがあれば下記のセルフエクササイズをしてみてください。
座った状態で脚を組み、前屈します。
仰向けになり脚を組んで四の字の形を作り、手で胸の方へ引き寄せます。
【チャレンジコース】
下記のような姿勢でお尻を伸ばします(省略してすみません)。
無理のない程度で行ってみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・引用
園部俊晴:園部俊晴の臨床『膝関節』 運動と医学の出版社
山口典孝ほか:カラー図解 筋肉のしくみ・はたらき事典 西東社