足関節捻挫

はい、ぜんしん整形外科理学療法士の加藤です^_^

今回は、足首の捻挫をテーマにお話しします‼︎

  • ちょっと捻ったくらいだし痛いけど動けるから問題ない!
  • 捻挫なんて、軽いケガでしょ!
  • いつも捻挫を繰り返すから、こんなの当たり前!

そんな風に捻挫を甘く見ていませんか?

足首の捻挫が重症化することは稀です。
しかし、その後に再発を繰り返したり、症状が残ってしまう場合が多く見られます。

実は、、、私もスポーツ中に捻挫をした経験があり、恥ずかしながら捻挫を放置した結果、関節が硬くなってしまい、今でも足に違和感があったり痛みが出ることもあります。

捻挫した後に、適切な処置やリハビリをするべきだったなと後悔しています。

足に痛みや不安を抱えるアスリートが増えないためにも、足首の捻挫について、受傷後の対応方法からリハビリ内容、再発予防に向けた自分自身で行う簡単な足の状態チェック及びケア方法についてお伝えします!

【足関節捻挫の特徴】

足関節捻挫は代表的なスポーツ外傷の一つであり、最も発生頻度の高い足関節外傷であるとされています1)

若年のサッカー選手を対象とした研究では、約4割の選手に足関節捻挫の既往があり、その約20%に何かしらの後遺症があったと報告されています2)

足関節捻挫が生じる場面としては、

  • ジャンプ着地の際に相手の足に乗り上げたとき
  • スライディングタックルを足の内側で受けたとき
  • ダッシュした状態から急減速したとき
  • ターンやカッティングといった方向を変えるとき

などが挙げられます。

足首の捻挫は「内反捻挫(足首を内側に捻ってしまったもの)」「外反捻挫(足首を外側に捻ってしまったもの)」の大きく2つに分類され、多くは「内反捻挫」になります。

骨の形・靱帯の強度・関節の動きの特徴から足首を内側に捻りやすいことが要因と言われています。

今回は、足首の捻挫において発生率が高いとされている「内反捻挫」に関するお話をしていきます。

内反捻挫の際に、特に損傷を受けやすいのが前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)になります。

前距腓靭帯を損傷すると外くるぶしの前部分が腫れ、痛みが生じます。

また、つま先を下に向けたり内側に向ける動きで、痛みが生じやすいのが特徴になります。

【捻挫をした場合のスポーツ現場における判断】

捻挫をしてしまった場合、現場ではまず競技を続行させるかの判断が重要になります。

そのときの判断としては、イングランドのサッカー協会のチームでも利用されている「SALTAPS」という評価方法があります。

SSee(見る) ベンチからのモニタリング
AAsk(尋ねる=問診) 「どこが痛いのか」「どのようにケガが起きた?」
LLook(診る:視診) 腫れや変形などの確認
TTouch(触る:触診) 腫れや痛みの部位などの確認
AActive Range of Motion(自動可動域) 自分で関節を動かせるか?
SStrength(筋力) 痛み無く力が入るか? 競技を継続する十分な筋力があるか?

SALTAPSの項目から総合的に判断しましょう。

個人的な見解になりますが、

「関節を動かしたときに痛い」
「足首や足指に力を入れたときに痛い」
「体重をかけると痛い」

痛みの程度や現場の状況にもよりますが、3つのいずれかに当てはまる場合は基本的に競技復帰を中止するのが望ましいと思われます。

また、骨折を伴っているかの判断も現場では大切です。

判断の方法としては、「Ottawa Ankle Rules」という評価があります。

□ 怪我した直後に自力で4歩続けて歩けない
□ 赤丸4つの部分を押して痛みがある(下図 参照)

上記チェックに1つでも当てはまれば、骨折の可能性があります。

骨折している可能性が高い場合や、判断に迷う場合でも選手のためにも早めに医療機関で足首の状態をみてもらうことをおススメします。

【捻挫後の応急処置】

ケガをした早い段階での応急処置が捻挫後の回復を早めるためにも大切です。

一般的に行うのが、「RICE処置」になります。

R=Rest:休息、=Icing:アイシング、C=Compression:圧迫、E=Elevation:挙上」

を行うことで関節の腫れなど炎症の緩和を図ります。

特に初めて捻挫をした場合は、捻挫後の処置が良くないとクセになりやすいためにギプスやシーネでしっかり固定することが重要です。

固定期間に関して、10日間程度の固定は腫れや痛みの軽減に有効だとされており3)、医師の判断にもよりますが1~2週間の固定は捻挫の後遺症を防ぐためにも重要と思われます。

過去に何度か捻挫を経験している場合においては、足首のサポーターで固定して対応します(状態に応じて異なる場合もあります)。

【捻挫後の後遺症を防ぐためのリハビリ】

捻挫は、ケガの発生率は高いものの軽症であれば痛みの様子をみながら運動が出来てしまうために軽視されがちです。

捻挫後は、関節の固定・腫れや痛み・偏った体重のかけ方により足首の動きが悪くなります。

その状態では、足首が安定せず力も出しづらくなるためスポーツを再開したらまた捻挫を繰り返してしまうこともあります。

競技復帰に関しては、捻挫の重症度により異なりますが、下記がおおまかな目安になります4

Grade1(しっかり歩くことが出来る):1~2週間
Grade2(痛みにより足を引きずる、靭帯の不安定性はほぼ無し~軽度):3~4週間
Grade3(痛みにより体重がかけられない、靭帯の不安定性が明瞭に判断できる):5~6週間
(※個人差あり)

いずれにしても、捻挫後の後遺症を減らすために以下のような段階的なリハビリを行いながら競技に復帰することが大切になります。

  • 足首の正常な動きを獲得する
  • 足指・足首周り・ふくらはぎの筋力を強化する
  • 再発予防を目的とした動作の練習(バランス練習など)を行う

【あなたの足の状態チェック】

さて、足関節捻挫に関して色々と話しましたが、ここからは自分の足の状態をチェックしてみましょう。

捻挫をして足に不調を抱える方以外も、もし興味がありましたらチェックしてみて下さい(*^-^*)

以下の4つのテストを行います。

各テストを動画でまとめましたので、確認してみて下さい!

1)足首の柔軟性チェック

 2)足全体の柔軟性チェック

 3)ふくらはぎの筋力チェック

4)バランスのチェック

いかがでしょうか?

左右差を感じたり、苦手な項目はありましたでしょうか?

では、次にそれぞれの項目に対するセルフケア方法についてお伝えしていきます。

上記チェック項目の数字と照らしあうように動画でまとめましたので、是非ご覧下さい!

【チェック項目別のセルフケア方法】

1)足首の動きを改善する方法

2)足全体の動きを改善する方法

3)ふくらはぎの筋力を改善する方法

4)バランス能力を高める方法

さて、長くなりましたが最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

捻挫を軽視せず、捻挫に対する正しい知識を身に付け、足に痛みや不安を抱えるアスリートが減ることを願っています!

では、また(。・ω・)ノ゙

1) Fong DT et al.:A systematic review on ankle injury and ankle sprain in sports.Sports.Med,37(1):73-94,2007.
2) Petersen W et al.:Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review.Arch Ortop Trauma Surg 133(8):1129-1141.2013
3) Vuurberg G et al.:Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains:update of an evidence-based clinical guideline. Br J Sports Med,52(15):1-15. 2018
4) スポーツリハビリテーションの臨床