当院での検診活動、スポーツメディカルチェックについて

こんにちは、野球大好き理学療法士の桐川です。

先月、千葉ロッテの佐々木 朗希選手がプロ野球28年ぶりに完全試合を達成しました。
野球ファンとして、とても嬉しいニュースでした。

佐々木 朗希選手は、高校3年時、夏の地方予選の決勝で大事をとって投げませんでした。
その時の詳しい経緯は分かりませんが、自分の体の状況と向きあい、勇気を持って休養という選択をしたのだと思います。

適切な医療が、今回の完全試合につながったとしたら、1人の医療人として嬉しく思います。

私たちも微力ながら、野球を好きな方々の力になりたいと2019年から野球肘検診を行なっております。
おかげさまで年々参加者は増加し、2022年は2月と3月で約50人の方に参加して頂きました。

当院では野球以外に、サッカーチーム、バスケットボールチームに対してもスポーツメディカルチェック(注1)を行なっています。
(注1)スポーツメディカルチェック:アスリートに対する健康診断

今後はテニスやランニングなどの競技にも間口を広げ、活動の幅を広げていきたいと考えています。

そこで、今回はスポーツメディカルチェックについてご紹介しようと思います。

スポーツメディカルチェック

スポーツメディカルチェックとは、それぞれの競技特性に合わせた身体機能の検査を行うことです。

当院で行なっているものとしては、

  • 競技で痛めやすい部位のエコー検査
  • 各関節の可動域の測定
  • 柔軟性の測定
  • 筋機能の測定
  • バランス能力の測定

その他諸々、必要に応じて行います。

具体的にはどんなことを調査して、どのような結果が得られたか、他の施設で行われた研究を紹介させていただきます。

整形外科医の大内氏1)は、「中学生アスリートに対して、スポーツメディカルチェックを実施して肩関節可動域を調査。その結果、オーバーヘッドスポーツ(注2)を行なっている選手たちの26%は肩関節の関節可動域が狭くなっている。」と報告しました。
(注2)オーバーヘッドスポーツ:野球の投げる動作やテニスのサーブなど、頭上から腕を振り下ろす動作を行うスポーツのこと。

肩関節の可動域を大きく使うオーバーヘッドスポーツにおいて、関節可動域が狭くなることは、ケガのリスクやパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
そのため、定期的に体の状態を確認するスポーツメディカルチェックを行うことは、重要なことであり、スポーツをやる上で欠かせない事だと考えます。

次に、メディカルチェックと理学療法士による運動指導を行ったことで選手にどのような変化が起きたかという報告を紹介します。

理学療法氏の野呂2)氏らは、「中学野球チームに対して、スポーツメディカルチェック行い肩関節可動域を測定し、それと同時に理学療法士が障害予防の為の講演と運動指導を行った。その翌年に再度スポーツメディカルチェックで関節可動域の測定を行い、変化を調べた。結果は、翌年のスポーツメディカルチェック時に肩関節の可動域が広がった。」と報告しています。

野球において、肩関節可動域はケガ予防の観点から重要視されています。

肩関節可動域が広がったことは、スポーツメディカルチェックでの“現状把握”だけでなく、“更に一歩進んだケガ予防”を行える可能性も示しています。

こういった報告などを見てみると、スポーツメディカルチェックの重要性が明確化してきます。

ぜひ、興味のある方は相談してみてください。

皆さんのご意見をいただく為に、新たにスポーツメディカルチェックを募集するホームページを作りました。

リンク:ぜんしん整形外科|スポーツメディカルチェック

ぜんしん整形外科のスタッフ一同、ケガで苦しむ選手を少しでも減らせるように頑張っていきます。

今後ともよろしくお願い致します。

参考)
1) 大内 賢太郎ほか:野球以外のオーバーヘッドスロースポーツは肩関節内旋可動域を減少させる.肩関節.2017:第41巻第2号:560-563
2) 野呂 章洋ほか:過疎地域の野球チームへのメディカルサポートの試み. 理学療法学Supplement 2014(0), 1034, 2015