筋トレとメンタルヘルス
好きな筋肉は大胸筋
最近はベンチプレスよりも、インクラインダンベルカールにハマっている理学療法士の隈部です。
今回は、僕の大好きな筋トレの効果について書いていこうと思います。
ただ、筋トレの効果と言っても、「筋肉が大きくなります。」「脂肪が減ります。」 といった情報はありふれているので、他の記事に譲ることにして、今回は メンタルヘルスとの関連やその他の意外な効果について書いていきます。
日本人のうつ病や自殺者数が諸外国と比べて、高い傾向にあるのを皆さんは知っていますか?
日本の自殺者率は、先進国(今回はG7に限定)の中ではトップ であり、うつ病をはじめとした精神疾患の罹患率も諸外国と比較して、高い傾向にあります。
うつ病の原因は、多岐にわたると言われていますが、その中の一つとして考えられているのが、セロトニンという神経伝達物質の不足です。
日本人は、セロトニンの 分泌量が少ないとされており、ネガティブなことに対して、強い不安感を抱きやすいとされています。
では、どのようにしてセロトニンを増やすことが出来るのでしょうか?
セロトニンの分泌は、筋トレで増やすことが出来ます。
また、 2017年に発表された研究によると、筋トレは健常者の不安感を大幅に改善し、不安障害等を抱える患者の不安感も改善することが示された。とされています。(Gordon BR et al,2017)
このように筋トレは、筋肉を増やす効果だけでなく、不安感を減らし、メンタルヘルスにも効果的であることが分かっています。
ただ、筋トレはキツイから行えない、気力が無いといった方 も多いかと思います。
そういった方はウォーキングやジョギングから始めてみてはどうでしょうか?
古い研究にはなりますが、これらの有酸素運動でも不安感を取り除くことに繋がる(Broocks,1998)といった研究も出ています。まずは運動習慣をつけていけると良いと思います。
筋トレはやりたいけど、やり方が分からない。
という方は、ぜひ当院と提携しているZ-fitness にご連絡下さい。
トレーナーがそれぞれの個人に合わせたパーソナルトレーニングをご提案いたします。
Z-fitness ― 整形外科と連携したフィットネス施設
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筋トレの効果については、あと2つほど紹介させて頂こうかと思います。
① 筋トレは慢性痛に効果的である。
当クリニックを受診される多くの患者さんが悩まれているものが “痛み”です。
筋トレやその他の運動は、痛みの中でも長期間痛みが続いている慢性痛(特に頸部痛、腰部痛、膝痛)に対して効果的である可能性があるとされています。(Raposo F.2021) (Hayden JA ,2005) もちろん全ての患者さんに、この研究内容が当てはまるわけではなく痛みの程度や強度に応じて運動することは大前提ですが、筋トレは慢性疼痛に有効な可能性が示唆されています。
慢性痛を抱える方は、ぜひ低強度で出来そうな筋トレから始めてみてください。
② 筋トレは自己肯定感を上げる ことが出来る。
前述した通り、筋トレによってセロトニンの分泌を増やすことが出来ます。
セロトニンは、精神の安定化や痛みの最適化といった効果から癒しのホルモンとも言われており、自己肯定感を上げることに繋がります。
筋トレが好きな人で、無駄に脱ぐ人いますよね。
鏡の前で筋肉をチェックしている人いますよね。
、、、、、、、僕のことです、、、、、、、、、
ナルシストかどうかということは、今回は言及しませんが、自分の体を見てほしいから脱ぐわけですし、自分の体が好きではないのに、わざわざ鏡の前で確認する方はいないと思います。
筋トレして、体を変える(痩せることや筋肥大することも含めて)ことが出来れば、自分を好きになることに繋がり、それは自己肯定感を上げること が出来ます。
ストレス社会で自分に自信が持てない方、ぜひ筋トレを始めてみてください。
ちなみに、筋トレで体が変わり始めるのには時間がかりますが、とある研究によると、高重量で体に大きな負荷をかける筋トレよりも、ある程度回数をこなせる中程度の筋トレの方が 、自己肯定感を上げることに繋がるそうです。(Tsutsumi,1998)
回数やセット数をこなすことが出来たという達成感が、自己肯定感を上げることに繋がっているのだと思います。
運動習慣が無い方も、軽い筋トレからぜひ試して みましょう
ここまで筋トレの効果について書かせて頂きました。
筋トレは体を鍛えるだけでなく、心にも良い影響を与える事ができ、慢性痛の軽減にも 繋がります。
ぜひ皆さん の生活にも筋トレを取り入れて、自分の好きな筋肉、好きな種目を作っていきましょう。
参考文献
Gordon BR et al
The Effects of Resistance Exercise Training on Anxiety: A Meta-Analysis and Meta-Regression Analysis of Randomized Controlled Trials.
Sports Med 2017 Aug17.Broocks et al
Comparison of aerobic exercise, clomipramine, and placebo in the treatment of panic disorder.
Am Psychiatry.1998;155(5):603-9Hayden JA et al
Systematic review: Strategies for using exercise therapy to improve outcome in chronic low back pain. Ann Intern Med. 2005;142(9):776-85Tsutsumi T et al
Comparison of high and moderate intensity of strength training on mood and anxiety in older adult.
Percept Mot Skills.1998;87(3 Pt 1):1003-11庵野拓将 2019 科学的に正しい筋トレ 最強の教科書 KADOKAWA
Testosterone 久保孝史 2018 筋トレが最強のソリューションである 文響社