腰椎分離症について

いきなりですがの痛み、一度は経験したことはないでしょうか。

腰の痛みには腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、心因性(ストレスによる)腰痛、筋筋膜性腰痛、仙腸関節障害など様々な要因があります。

その中で今回のテーマは腰椎分離症です。


結論

発生メカニズム:腰椎分離症は椎間関節突起間部に繰り返し負荷がかかることで起きる疲労骨折と考えられる。
→ 椎間関節突起間部の疲労骨折のあと偽関節になると将来的に腰椎すべり症の主因になる。

基本方針:診察で骨癒合の可能性があると判断された場合は保存療法にて骨癒合を目指す。

リハビリテーション:骨癒合期間中に柔軟性改善・体幹筋力を向上を目指し、痛みに応じて復帰を目指す。


いきなり聞き馴染みのない言葉が多く出てきたかもしれません。補足していきます。

椎間関節突起間部はこちらです。


画像1

疲労骨折とは、骨の一部にストレスが繰り返し加わることで起こる骨折。腰以外にも足の骨に起こりやすい。
偽関節とは、骨折後に骨がくっつかず異常な可動性を持つ関節。
腰椎すべり症とは、加齢や腰椎の変性により歩くときに足の痛みやしびれが出てしまう症状。要因の一つに腰椎分離症がある。
骨癒合とは、骨がくっつくこと。

腰椎分離症の発生メカニズム

腰椎分離症の病態は椎間関節突起間部(画像1参照)に生じる疲労骨折であると考えられていて、椎間関節突起間部に負担のかかる動作が繰り返されるスポーツ競技者、選手に多いとされています。その負担のかかる動作は腰椎伸展・回旋時です。腰椎伸展とは腰を反る動作、回旋とは捻る動作のことをいいます。スポーツ動作でいうとバレーボールのスパイクやサッカーの蹴る動作を想像するとわかりやすいと思います。

バレーボールのスパイクするときは腕を高く上げ後ろに引くときに腰を反り捻りも加わる。
サッカーのロングキックやシュートでは軸足を踏み込んで蹴り足を後ろに引き上げるときに腰が反って捻りも加わる。
上記の動作は主に片側(利き手・利き足)に反復が必要な動作なので腰への負担は大きくなります。

基本方針

腰椎分離症の疑いがある場合は医師による画像診断にて椎間関節突起間部の疲労骨折が骨癒合の可能性がありそうか診断されます。

腰椎分離症は骨折なので時期によって骨がくっつく可能性があります。その時期を逃すと偽関節に移行してしまうことがあります。

骨癒合の可能性がありと診断された場合、長期間(2ヶ月~6ヶ月)の運動休止・腰のコルセット固定になります。長期間離脱するのは悔しいし嫌かもしれません。しかし将来的なリスクを考えても現状スポーツを痛み感じながら続けていても最大のパフォーマンスは出せず、腰はずっと痛いまま、、と中途半端になってしまうと思います。
この診断をむしろポジティブに捉えるとしたら、運動を休んでいる間に身体の柔軟性向上のストレッチや体幹トレーニングを続けることで“今よりも強くなって復帰できるチャンスがある事”かと思います。

とりわけ腰椎分離症の診断でリハビリに来る患者さん、選手のほとんどは身体が硬いもしくは体幹機能が不足している印象です。そんな中、半強制的に休まなければならないので自分の身体と向き合う時間としてポジティブに捉えられるとリハビリもうまくいきやすいのかなと思います。ただし長期間の運動休止と腰のコルセット固定をしても骨癒合する可能性は100%ではありません。
でも重要なことは、診察でDrに「コルセット外して少しずつ運動再開していこう」と言われたときに自信もって復帰できる身体づくりができているかどうかだと思います。

画像診断で骨癒合の可能性がないと判断された場合やコルセット固定後骨癒合が適わなかった場合は痛みの管理しながら復帰を目指します。

自分の置かれている状況で最大限できることをやるかやらないか。

リハビリ

腰椎分離症と診断された患者さんや選手は特に股関節が硬く、体幹の機能もうまく使えていないことが多いです。股関節が硬いと、腰椎分離症のメカニズムでお伝えしたようにスポーツ動作でより腰を反りやすくなってしまいます。リハビリでは股関節のストレッチや腰を反らないように配慮しながら体幹トレーニングを行っていきます。

 

ハムストリングスのストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

デッドバグ

 

基本方針にあったマインドを伝えつつ、上記は一例ですがストレッチや体幹トレーニングを、患者さん・選手の状況に合わせて行い身体機能の向上を目指します。復帰するときに“今よりいい状態“になれたら、パフォーマンスアップ・再発予防に繋がります。

当院のリハビリでも痛みを考慮しつつ、いい状態で復帰できるようサポートしていきます!