自転車で九州を目指そう!(前編)
自転車乗りのSE内野です。
去年の夏は本州を北に、青森まで走ってきましたが、
→ 青森までのサイクリング
今年の夏は本州を西に、九州まで走ってきました。
©OpenStreetMap contributors / CC BY-SA
今回のブログはそんな自転車旅行のお話です。
箱根に打ちのめされた初日(立川~富士)
同僚が働いている職場を横目に立川から走り始めます。
ハンドルのテープの色が変わったこと以外、装備品は去年と変わりません。
慣れ親しんだ道具の重みは信頼の証。旅に寄り添う頼もしい相棒です。
飲み物は最低2本は持つようにしていますが、1本は可能な限り水道水にしています。
水分を補給するという目的以外にも「落車転倒でケガをしたときに傷口を洗うため」に持っていたいので、ミネラルウォーターではなくしっかり塩素が入っている水道水です。
さて。
初日は立川から国道1号(東海道)まで南下してあとはひたすら西に進む、という進路を取ります。
広がる青の大海原、それは太平洋。
平塚で国道1号に合流後、太平洋岸自転車道に出て海を見てみました。
海からの風と肌を焼く日差しがきついので、海は一目見たら満足。
国道1号に戻って西に進みます。
東海道で西に行くとなればまずは箱根峠という試練が立ちふさがります。
定番の国道1号ルート(箱根駅伝コース)を走るつもりだったのですが、この日は三連休初日ということもあって道路は大渋滞。
箱根湯本から大涌谷まで車がずっと詰まっていたので、予定を変更して「箱根旧道(県道732号)」に初挑戦してみることにします。
地図を見る限りこっちのほうが近いし楽なんじゃないでしょうか???
……なんてことが甘い考えだったと旧道に入ってわずか10分で思い知らされました。
国道1号が優しく思えるほどの激坂の連続です。
いい感じの勾配
「ここから1.2kmの間 七曲り」と書いてありますね? でも地図をよく見ると
ここから12回も曲がります。嘘つくな!
標識を見て7回で終わりと思い込んでいたので、道を間違えたのかと思いました。
地図を凝視し、折れそうな心を持ち直します。精神と肉体の限界が試されるのを感じました。
国道1号を走るよりはるかに時間をかけて、ようやく芦ノ湖に到着。
この箱根旧道を自転車で走ることはたぶんもうないでしょう……。
箱根を超えれば静岡県、三島までひたすら下るだけです。三島側は景色もよく、勾配も緩いので快適なダウンヒルが楽しめます(法定速度厳守)。
一気に山を下って三島大社に立ち寄り、これからの旅の無事を祈りました。
三島大社の天然記念物の金木犀。樹齢1200年だとか。花の時期でないのが残念でした。
駿河湾周辺の名物といえば桜エビ。夕飯に天ぷらの桜エビを食べてみましょう。
桜エビの甘みとサクサク天ぷらのコラボが絶妙でした。
雨が降ってきたので目についたネットカフェに避難して初日は終了です。
最近のネットカフェは、シャワーにランドリー、オートロックの個室まであるので下手なホテルより快適です。
お世話になった先生に会いに行く(富士~浜松)
由比はいつも早朝に通り過ぎるばかりで観光ができず、ただ街並みを眺めるに留まっています。
この廣重美術館にも興味をそそられつつ、なかなか開館時間に合わせて訪れる機会に恵まれません。いつかちゃんと来ます。
由比と興津の間には「薩埵峠」があります。この激坂の先でございます。
峠を通らず国道1号(平地)を走ってもいいのですが、歌川広重が東海道五十三次に描いた歴史的な風景はチェックポイントとして押さえておきたいところ。
歌川広重 東海道五十三次 由井 薩埵嶺
前日に箱根旧道でだいぶひどい目に遭いましたが、懲りずに激坂ルートを選びます。
しかし坂では前日の雨が影響してか後輪が滑って空回り。脚力の問題以前に漕ぐことができませんでした。
それでもこの坂は長くありません。自然の力と向き合いながら、おとなしく押して登ります。
そんな激坂を超えた先の絶景スポットは……
通行止めだった!!!
それなら坂道なんか登らず素直に国道1号を走ったんですけど!
……大変残念ですが仕方ありません。
これは前回訪れた際の写真です。
国道1号、東海道本線、東名高速道路と壮大な富士山。
日本の交通の動脈と自然の雄大さが見事に調和した風景が一望できるはずだったんです!
通行止めと激坂で精神と体力を削られましたが、気を取り直して西へ向かいます。
駿府城跡の駿府城公園。徳川家康の像があるのですが、駿府城なら今川義元の印象が強いので義元の像にするべきではないでしょうか(私見)。
こちら、その駿府城から10分ほどの距離にある「ゆきえ整形外科」。
昨年まで当院で金曜日の外来を担当していた靱負先生が開院したクリニックです。
近くまで行くと連絡したら、日曜日なのにクリニックを開けて見学させてもらういう貴重な体験をさせてもらいました。
そして先生おすすめのソフトクリームをごちそうになりました。感謝!
通行止めの精神的ダメージからも回復したので、元気に西へと向かいます。
東海道五十三次、丸子宿。創業400年・14代続く丁子屋はいつも行列の人気店です。
とはいえ、おひとり様なので思ったよりは早く案内してもらえました。とろろご飯です。
「ご飯は茶碗2杯分ある」とメニューに書かれていたので「ご飯少な目」でお願いしたのに、2杯よそってもおひつの底が見えないのはどういうことでしょうか???
少々おなかが苦しくなりましたが、走って消化すればよいのでペダルを回し、夕方には浜松に到着。
浜松と言えばウナギ。というわけでウナギの評判がよさそうな回転寿司を夕飯にしました。
寿司屋に入っても火を通したもの多めの注文になってしまうのは気持ち程度のリスク管理です。
水族館とお伊勢参り(浜松~伊勢)
浜松城を眺めて3日目スタート。
早朝の浜名湖を超えます。
浜名湖からは東海道で名古屋方面に行くのではなく、太平洋沿いを走って伊良子岬を目指します。
20kmほど船に乗って対岸の鳥羽に渡るためです。
船代、自転車料金と合わせて3100円。
ちなみにフェリーで自転車はこのように壁際に縛って収納されます。バイクとほぼ同じ扱いです。
※養生したり縛ったりするのはすべて船員さんがやってくれます。
1時間ほど乗船して対岸の志摩に到着しました。
着いた港のすぐそばには有名な鳥羽水族館があります。
せかっくなので立ち寄ってみます。広々とした館内には、海の生き物たちが織りなす幻想的な世界が広がっていました。
アシカショー含めて堪能しました。
鳥羽から1時間ほど走ると伊勢神宮にたどり着きます。
天照大神を祀り、三種の神器の一つである八咫鏡が安置されている日本神道の中心ともいえる神社です。
内宮のお伊勢参り。
おかげ横丁は激混みでした。いつもは立ち寄る赤福も、今回はスルーしてしまいました。
外宮。こちらちは比較的混雑していません。
鳥羽と伊勢でゆっくりした一日でした。
山の中を突き進む(伊勢~奈良)
伊勢からは奈良方面に進路を取ります。
国道166号のこのルートを選びました。100キロ近くの山道です。
食料・水分は余裕を持ってしっかり補給をして走りはじめます。
田丸城跡。初めて聞く城でしたが、南北朝時代に築かれた伊勢国の名城の一つだそうです。
戦国時代の戦乱や江戸時代の平穏を見守ってきた石垣が、過去の栄華を物語ってます。
田舎の夏という感じがします。
いい天気!暑い!
ひたすら山!
道の駅 飯高高駅。道の駅の制度ができた日に登録された全国103施設の中の一つなので、道の駅1号でもあります。山の中はコンビニなんて無いので、道の駅は貴重な補給場所です。
道の駅 大宇陀。この辺まで来ると人里に戻ってきた感じがします。足湯でのひとときは自転車旅の疲れを癒してくれる至福の時間です。
半日走ってようやく奈良の都市部まで到着。橿原神宮に訪れました。残り半日は奈良の観光をします。
日本書紀によると初代天皇・神武天皇の皇居がこの地だと伝えられています。
すなわち日本建国の地とも言えるのではないでしょうか。
天岩戸神社。神武天皇のご先祖様・天照大神が引きこもったとされる天岩戸を奉る神社だそうです。
橿原神宮とは打って変わって、ひっそりとした秘境のような神社でした。踊れば女神さまが出てくるでしょうか?
飛鳥寺の飛鳥大仏。609年に作られた日本最古とされる大仏です。歴史がありますね。
飛鳥寺の裏にある蘇我入鹿首塚。東京から小学校の修学旅行の団体さんが来ていましたが、最近の修学旅行は学校支給のタブレットで写真撮影なのですね。
この釣鐘、「連打禁止」ということは1回だけ鳴らすのはOKですね?
せいや!
さきほどの小学生たちから羨望のまなざしを向けられました。
団体行動で自由が制限されている小学生に、大人の自由さを見せつけてやりました。
藤原京跡。なにもないですね!
東大寺の大仏。でかい。大仏もですが大仏殿がでかい。
ちなみに大仏殿は、近代の建築物を除けば世界最大の木造建築だそうです。
神獣。奈良と言えば鹿ですね。
何かの祭りに遭遇。
山道を100キロ走った後ですが、奈良を堪能しました。
後半へ続く → 自転車で九州を目指そう!(後編)