睡眠の重要性
初めまして。ぜんしん整形外科で理学療法士をしています世良田拓也と申します。
今回は、私自身の経験からブログを見られている患者さん、理学療法士さん向けに睡眠についてお話したいと思います。
睡眠の知識って理学療法士に関係ないのでは?と思うかもしれませんが、まずは「なぜ睡眠というトピックをチョイスしたのか」を簡単にご説明します。
トレーナーとしての経験
私は、広島の理学療法士の養成校を卒業後、埼玉県のスポーツクリニックに就職し、2年半理学療法士として勤務後、サッカーJ1リーグでも優勝経験のある広島のプロサッカーチームでトレーナーとして働くことになりました。
実際にスポーツ現場で働いてみて、選手を治すには運動・休養(睡眠)・栄養の3本柱が大切だと考えさせられました。
理学療法士としての葛藤
当時の私は、理学療法士3年目で、目標であったJリーグのトレーナーになれたこともあって、若気の至りからか、
『自分は治療ができて治せる理学療法士だ!!』
という傲りや変な自信がみなぎっていました(笑)。
その中でも、選手が怪我をした際に
『どういう食事を摂れば怪我の回復は早いの?』
『どれくらいの睡眠時間を取れば疲労が回復しやすいの?』
『試合後に眠りにくいけど、何か対策方法はある?』
等の疑問をぶつけれられることがありましたが、スポーツクリニックに勤めていた私にとっては知らないことばかりで、理学療法士の養成校でも見たことも聞いたこともないようなことをスポーツ現場では要求されるのだと実感しました。
当時の私は理学療法士だから治療だけしていれば良いんだという変なプライドがありましたが、それだけでは選手をよくできないんだと実感し、私の小さな変なプライドを捨てて睡眠や栄養についても勉強を始めました。
睡眠の目的とは…
前置きが長くなりましたが、実際に選手に指導していたことや現在も患者さんへ指導やアドバイスをしている睡眠について何点かお話させていただきます。
まずは睡眠の目的とは
① 脳と身体の休息
→睡眠中は副交感神経優位となり回復を促進
② 記憶を整理し定着させる
→学習後の記憶の定着
③ ホルモンバランスの調整
→睡眠の最初の90分で成長ホルモンの分泌
④ 免疫力の向上
→風邪の予防
⑤ 脳の老廃物除去
→アルツハイマーの予防
最適な睡眠時間は?
日本人の最適な睡眠時間は個人差はありますが、7〜9時間とされています。
しかし、O E C D(経済協力開発機構)から2016年に発表されたデータでは日本の平均睡眠時間は6時間22分となっています。(https://www.oecd.org/gender/data/OECD_1564_TUSupdatePortal.xlsx)
患者さんに聞いてみると大体5時間半〜6時間半で、最適な睡眠時間からはかけ離れている印象を持っています。
スポーツと睡眠について
スタンフォード大学男子バスケットボール選手10人を40日間、毎日10時間ベッドに入れて、それがコートでのパフォーマンスにどう影響するか調査したデータがあります。コート反復80m走のタイムとフリースロー、3ポイントシュートの成功率を毎日記録したところ、40日後には平均で80m走のタイムは0.7秒縮まり、フリースローは0.9本、3ポイントシュートは1.4本も多く入るようになっています。
睡眠と痛み
また患者さんでは、しっかりと眠れていないとホルモンバランス不良による疼痛、副交感神経優位にならず休めていない状況が続いてしまい、疼痛が長続きしたり筋肉の緊張を強く感じたりしてしまいます。
理学療法士には関係ないと思われていたかもしれないですが、睡眠のアドバイスは症状緩和にとって必須のアドバイスと言えます。
睡眠の質を向上させるためには
では、睡眠の質を上げるためには、どうすれば良いか?
① 就寝前にスマートフォンの使用禁止
就寝前にスマートフォンを使用することでブルーライトにより影響を受け交感神経が過敏になり、睡眠の質が悪くなります。基本的には睡眠の1時間前は使用しないようにしましょう。
② 就寝時間の設定と就寝場所の決定
就寝時間はできるだけ、同時間に設定し、就寝場所は就寝するときだけ行くというルーティンを築きましょう。
③ しっかりと食事を取る
食事を抜いて就寝してしまうとオレキシンというホルモンが分泌され覚醒状態になり、夜何度も目覚め疲労が取れない状況になってしまいます。3食しっかり食事を取りましょう。
④ 寝具の選び方
・マットレス……立ったままの姿勢をキープできるのが理想。高反発の方がキープ可能
・枕……マットと頸部の角度が5°→ 仰向けで携帯や本を見たときに違和感がない
お忙しい中、最後まで読んで頂きありがとうございました。
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