青森までのサイクリング
自転車乗りのSE、内野です。
去年に引き続き、今年の夏もたっぷりとサイクリングをしてきました。
前回は「中部地方ぐるっと一周」でしたが、今回は「日本海を眺めながら青森を目指す!」です。
青森に行くだけなら日本橋から青森までつながる国道4号線が手軽なルートですが、今回は日本海側を走りたかったので水上から三国峠を越えて国道7号を北上するルートを選びました。
出立
実は春に自転車を新調したばかりで、この自転車で本格的な遠出をするのは初めてでした。
慣れない自転車での長旅に不安もありましたが、「何かあっても金で解決すればいい!」のです。
準備はちょっと足りないくらいがちょうどいい(軽量化)。あまり深く考えずに出立!
暑さをどうやり過ごすか
今年の夏はとにかく暑く、連日のように「今日はどこどこで観測史上最高気温だった」というニュースを耳にします。
自転車で風を受けながら走っていれば体感温度はそこまで高くないのですが、それでも熱中症の危険は伴います。
暑い時間は無理に走らず、観光したり屋内に退避したりしてやり過ごすのが最善。
ということで、初日の昼すぎからさっそく温泉に浸かりました。
午後の一番暑い時間帯を温泉でまったり。
1、朝から昼にかけてたっぷり走って
2、午後は観光したり温泉等でくつろぎながらその日の寝床を探し
3、日が落ちるころにその寝床を目指して再び走る
というのが私の旅のスタイルの定番です。
初日の寝床は水上の少し手前のキャンプ場。お盆シーズン真っ只中ですが、他の利用者はいませんでした。貸し切り!
三国峠を越える
日本は山国なので、本州を横断するとなると山越えは避けられません。
今回越えるのは、群馬県から新潟県へと抜ける三国峠。標高は1000m程度ですが斜度はそこまできつくないので、走る時間帯さえ間違えなければそこまで厳しくはない峠です。
日中は40度に迫る暑さですが、早朝なら快適に走れます。ルートを考えるとき、地図を見て厳しそうなところは早朝に越えるようペースを調整するのも旅のテクニックです。
三国峠を登っているとき、沿道でやたらと猿を見かけました。人をまったく恐れていないので、こっちが襲われないか不安になります。
峠の上まで行くと、あとはトンネルを抜けるだけです。右が去年で閉鎖された三国トンネル、左がこれから走る新三国トンネルです。
この新三国トンネルの少し手前に、クロソイド曲線の石碑がありました。
「車で走るときに快適に曲がれるカーブ(クロソイド曲線)で作った日本で最初の道路ですよ」という記念の石碑だそうです。
競輪のように車並みの高速でカーブを曲がるならまだしも、ゆっくり山登りしてるぶんにはまったく関係ない設計ですね!
気を取り直して、トンネルを抜けます。トンネルはできることならば走りたくはないのですが、群馬と新潟をつなぐ一般道はここしかないので仕方ありません。去年できたばかりのトンネルなので路面状態もいいし、トンネルにしては快適な方でしょう。
無事にトンネルを抜けました。ここから新潟県です。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
冬に来るとそんな川端康成の世界に浸れるかもしれません。
ちなみに「国境の長いトンネル」のモデルはJR上越線の清水トンネル、三国トンネルから10kmほど北東にあります。
さて、峠を超えたのであとは日本海までひたすら下るだけです。
苗場・湯沢などのスキー場を横目に、蓄えた位置エネルギーを放出していきます。ほんのりと風の抵抗を感じつつも、その風を切る音が耳に心地よく響きます(要約:ゆるい下り坂最高!)
実は半年前、社員旅行でこのスキー場に来ているので、同じアングルで記念撮影してみました。
白い雪に灰色の空と、緑の芝生に青い空。同じ場所でもだいぶ違う顔を見せてくれますね。
食べ過ぎの一日
魚沼まで一気に下ったので、お昼には魚沼地方の名物「へぎそば」を食べることにします。へぎそば初体験です。
「へぎ」って何のこと?
「へぎそば」の語源でもある「へぎ」
実は、木でできた器の事をさしています。「剥ぐ=はぐ=へぐ」のなまりからきているそうで、木を剥いだ板でできた「へぎ」という器に盛られたそばのことを「へぎそば」と言います。
へぎそばとは、「へぎ」というセイロに入ったそばだそうです。
適当に入った店がそこそこの人気店らしく30分ほど並んで席に案内されました。
メニューを見てみると……、
1人前がないのですが??
悩んでいるとちょうど隣の老夫婦が3人前を注文していました。
計算してみます。
・年配の夫婦2人で3人前 → 1人あたり1.5人前
「年配の方でも1人前以上は問題なく食べられる量」と判断し2人前を頼んでみました。
多いんですけど???
隣の老夫婦を見ると、パックをもらって半分くらい持ち帰りにして2人で食べています。つまり1人あたり0.75人前を食べている。
騙された!?
……がんばって完食しました。麺にコシがあって、味は美味でした。
会計時に先ほどの老夫婦から「よく2人前食べられましたね」声をかけられました。
いえいえ、かなり無理してますよ!
お腹の重量増で走行効率が多少下がりましたがそのまま北上を続け、夜は長岡ご当地グルメの洋風カツ丼。
「カツ丼」といいつつも普通の皿で提供されるのが謎です。
そして、思ったより多かったという痛恨のミス(本日2回目)
まだそばが腹に残っていたので、ハーフ&ハーフの方が安い=量が少ないだろうとこれを注文したのですが思惑が外れました。
食べ過ぎでお腹の重い一日となりました。
山間部を抜けるといかにも「越後平野」という風景が広がります。さすがは米どころ新潟。
ようやく日本海まで到着しました。
せっかくなので寝床は砂浜です。
ここの管理人さん、自転車で海外を旅したこともある筋金入りの自転車乗りらしく、同じ自転車乗りとして旅の話題で盛り上がりました。
自転車仲間のよしみ&駐車場を使わない&テントも小さいので、キャンプ場代を少しおまけしてもらいました!
日が沈むと穏やかな潮風がとても心地よく、街の灯りも届かない海岸は、夜空に輝く星々を満喫できる最高の環境です。
満天の星空のもと、波の音を子守唄に心地よい眠りにつくことができました。
海岸線を走る
新潟から山形に入ります。朝のうちは日陰が多いこともあって、海岸線が快適に走れます。
午後になると海からの反射を含めた強烈な西日が肌を焼いてくるので、そういうときは海岸線ではなく少しだけ内陸のルートを選びます。
ルートがないときは仕方がないので、太陽に焼かれながら走ります……。
このあたりの道は芭蕉が旅した「おくの細道」でもあるので、道すがら芭蕉ゆかりの石碑などを目にすることがあります。そんなときは自転車から降りて、芭蕉も眺めたであろう情景に身を委ねて少しだけ歩いてみます。
芭蕉の名を刻んだ碑に立ち寄り、彼の言葉と遠い日の風景に思いを馳せるのです。
「五月雨をあつめて早し最上川」で有名な最上川を渡ると酒田の街に入ります。
珍しく観光らしい観光をして酒田を堪能しました。
酒田から少し北に行くと、もう秋田県です。山形県は比較的あっさりと通り過ぎました(滞在時間7時間くらい)。
通り過ぎるのに2日以上かかった新潟はやはりでかい……。
道の駅の足湯で癒したり
普通の温泉で癒やされたりしながら秋田を走ります。自転車旅行では1日1箇所以上の温泉を訪れることも珍しくありません。温泉は燃料。
秋田駅の目の前にあるこの城跡をてっきり秋田城だと思っていたんですが、実は「久保田城」だとこのとき初めて知りました。秋田城はもっと離れたところにあるそうです。
秋田といえばきりたんぽ。この暑いのに鍋物を選ぶ勇気!!
ちなみにこの店、鍋に入れるところから取り分けるところまですべて店員さんがやってくれました。見てるだけ~!
塩分補給にいぶりがっこはどうでしょうか。
カロリー過多で名物料理が食べられなくなる、という理由から旅行中はあまりスポーツドリンクで水分補給をしません。水分補給には、たいていカロリーも塩分もないお茶類を選んでいます。
なので、こういった「名物かつ塩分」というものには飛びついてしまいます。
北秋田市にある「大太鼓の館」を訪れました。世界一の大太鼓だそうで、その大きさには圧倒されます。
大太鼓の見学を終えたところで、海外の方から流暢な日本語で話しかけられました。
フランスから来たバックパッカーで、1年かけて主にヒッチハイクで日本中を旅をしているところだとか。
1年間のバカンスとか憧れますね。
「1年あっても祭りは年に1度しかやらないから」とひたすら全国の夏祭りを回っているところだそうです。
この数日で長岡の花火大会、青森のねぶたなどを回ってきたとのこと。
旅の情報と連絡先を交換しつつお互いの旅の無事を祈って別れました。
※彼は2日後には高知県のよさこい祭りに参加していました。行動力!
いよいよ青森県へ
矢立峠を越えるとついに青森県に入ります。
「峠」と名前がついているものの、この矢立峠は標高250mしかありません。ただの丘ですね。
桜の名所としても知られる弘前城。昔のままの姿を残す数少ない現存天守の一つでもあります。
日本に現存天守は12城ありますが、10城までは制覇しました。
あと2つ、備中松山城と高知城にもいつか行ってみたいと思っています。
弘前から自転車で30分ほど東に走ると、田舎館村という人口8000人弱の小さな村があります。
この村、知る人ぞ知る田んぼアートの発祥の地でもあり聖地なのです。
田舎館村は田んぼアートを村おこしとして作り続けており、近年はかなりクオリティの高い作品を見せてくれます。
その結果、村おこしとしてはかなりの成功を収め、毎年多くの観光客を呼び寄せています。
かくいう私もこの田んぼアートのリピーターでして、来るのは今回で3回目です。
毎回、立川から自転車で走って田んぼアートを見に来ています。
さて、今年の作品はと言うと、
見るたびに技術が上がっているのを感じますが、今年のワンピースは過去一番クオリティ高いのではないでしょうか。
自転車の旅はここ青森で終了です。台風が迫っていたので、あまりゆっくりせずに早めに帰ることにしてしまいました。
帰りは自転車をバラして、新青森駅から新幹線を使います。
実は去年も同じく台風で急いで帰宅しています。2年連続で台風に旅の最後を邪魔されました。
まとめ
無事に旅を終えましたが、やはり暑かった!
私は暑さには比較的強いほうだとは思っていたのですが、それでも40度に迫る暑さは健康にもよくありません。
「いのち、だいじに」を胸に、今後もサイクリングを続けていこうと思います。