チームトレーナーとしての夏

ぜんしん整形外科に併設されている『Z-fitness』のトレーナーの関根です。

私はZ-fitness以外で外部の活動として「大学の関東一部リーグ所属の体育会系男子ソフトテニス部」と「日本リーグ所属の実業団ソフトテニス部」のトレーナーをしています。

コロナウイルスの影響で行われていなかった大会も、運営側の徹底された新型コロナウイルス対策や努力のもと、今年は3年ぶりに開催され、活気のある夏になりました。

この夏の主要の大会の活動報告として

実業団
全日本実業団ソフトテニス選手権大会
日程 8月6日(土)〜8月7日(日)
会場 三重県
結果 3位

学生
全日本学生ソフトテニス大会
日程 9月3日(土)〜9月7日(水)
会場 山口県
結果 団体戦 3位  シングルス 優勝

でした。

私がチームトレーナーを始めて、初めての全国大会帯同ということもあり、たくさんの苦労と経験、学びがありました。

今回はそんな夏の大会を乗り切るために実際に行った暑さ対策と、チームトレーナー(試合日)の1日の動きを共有できたらと思っております。

暑さ対策

まず、ソフトテニスの夏がどれほど過酷か。を知ってもらえたらと思います。

国内でのソフトテニスの試合は「オムニコート」と呼ばれる砂入り人工芝のコートで行われます。砂入り人工芝の表面温度は大変上がりやすく、気温30~33度であれば表面温度は70~80度にまでなります。

そんな激アツ超過酷な環境下で20分から長い試合だと1時間近くの試合を、最大(決勝まで進むと)1日で7試合近く行います。
試合進行にもよりますが、今回学生が優勝したシングルスの場合は試合の間隔が10~30分程度でした。

そんな中でクールダウン→エネルギーチャージ→ウォームアップをして試合に臨まなければなりません。

この様な環境なので勝ち進んでいくと熱中症や腓返りを起こしたりしてきます。

ここで今までの試合に向けてどんな練習、トレーニングで準備をしてきたか。が出ます。
また、試合間でのリカバリーが上手でないと勝ち進むことはできません。

トレーナーが当日できることといえばリカバリーの環境を整えることだけになります。

ここでこの夏用意したのが
熱中症対策の「アイススラリー」、腓返り対策の「りんご酢」でした。

アイススラリーは「シャーベット状の氷と水分が混ざった状態のものを補給することで体内から深部体温を下げようというもの」です。詳しくは以前、理学療法士の隈部がスタッフブログに説明を載せていただいているので詳しい説明は省きます。

熱中症対策 アイスラリーと手掌前腕冷却

リンゴ酢を使い始めた訳は
元々、海外のトレーナー界で「ピクルスジュース」というものが流行っていました。
というのも、2010年ブリガムヤング大学の研究で「60mlのピクルスジュースを飲むと筋肉の痙攣が平均85秒で治った。」という結果が出ていたところから始まっています。
Gastric Emptying After Pickle-Juice Ingestion in Rested, Euhydrated Humans(Kevin.C.Millerら)
(ただ、こちらの研究でもなぜ腓返りが治るかは不明です。)

ただ、選手に
「ピクルスジュースで足が攣らなくなるっていったら飲む?」
と聞いたところ、飲みたくなさそうな顔が多かったのです。
また一部からは
「リンゴ酢なら!」と声があがり、調べてみると別でリンゴ酢30-60秒で腓返りが治った。という報告があり、リンゴ酢にしました。

実際に使ってみると…
当施設に通っている「よく攣る」という利用者さんに勧めてみたところ、攣らなくなったと報告を受けました。

また、帯同している大学や実業団のよく足を攣る選手に大会期間中こまめに飲む様に声かけを続けたところ、大会期間を問題なく過ごせました。

腓返り以外にも、お酢は食べ物の消化・吸収を助ける効果があるので、夏バテや緊張で満足に食事が取ることができなかったり、消化が悪くなったりしている時には適していますので夏場は特におすすめです!

ただ、お酢の酸性は酸蝕症といって歯を傷つけることがあるので摂取後には口を濯ぎましょう。

↑500mlの魔法瓶にはアイススラリーが入っています。

↑これはアイススラリーをつくっているところです。氷をミキサーにかけるとかなりの騒音になるので選手たちの迷惑にならない様に部屋を締め切って洗面台で作っています。

でもトレーナーって朝から晩まで選手、監督とくっついていてアイススラリーなんて作っている時間あるの?
と思われるかも知れません。

当然、日中はそんな時間はありません。
ではここで試合日のトレーナーがどんなの1日のタイムスケジュールをすごしているのかを紹介します。

5:00~ 起床 準備 この時間でアイススラリーなどは作ります。
6:00~ チーム散歩
6:30~ 朝食、会場へ移動
7:00~ 試合(それぞれのウォームアップ、クールダウン、動作指導、アドバイス、ケア等)
18:00~ ホテル到着.荷物整理
19:00~ 夕飯,チームミーティング
20:00~ 選手ケア
22:00~ 監督,指導者と意見交換
24:00~ お風呂,明日の準備,自分の時間
25:00~ 就寝

多少は開始時間や、選手らの状況によって変動はありますが、これが基本的な日程になります。

また、いつでも選手、指導者に呼ばれた時に対応できる様に、応急処置程度のテーピング、お金、貴重品などなどは常に持ち歩いて気を張り続けています。

自分で見てみてもなかなかの激務だと思います。笑

この激務のなかでチームにおいて最も体調が管理できていなければ(できている様に見えなければ)ならないのでなかなかプレッシャーのかかる立ち位置です。

でも、

↑これは全日本優勝を決めた瞬間です。

この瞬間があるからこそ頑張れます。

忙しささえこなしてしまえば応援している選手の試合を特等席で見られる様なものなので最高の仕事だと感じています