肩関節脱臼

肩関節は脱臼しやすい?

肩関節は骨の構造から脱臼しやすい関節です。転倒で肩を直接強打した場合やラグビーやアメフトなどの激しい衝突・接触を伴うコリジョンスポーツで多くみられます。ラグビーのタックルによる脱臼は、腕が外転/外旋位(腕を開いたポジション)を強制されることで前下方への脱臼を起こすことがほとんどです。投球動作や野球のスライディングなどでも同様の腕の位置で脱臼します。脱臼を一度起こしてしまうと関節唇という部分が損傷し、反復性になってしまう可能性が高いです。何度も脱臼してしまうとスポーツ活動のみでなく日常生活でも脱臼が生じやすくなってしまいます。

治療方法

初回脱臼時は、医師による関節を正常な位置に戻す整復を行います。整復後は固定を行いますが、三角巾などで固定するだけでは2回目の脱臼をする確率が下げられないことがわかっています。固定をする場合は外旋位固定という特殊な固定が必要です。脱臼の整復及び固定を経て、徐々に脱臼を腕を使うことは可能になりますが、その後も日常生活やスポーツ活動において脱臼を繰り返すのであれば手術が必要です。特に若年者が脱臼すると再発しやすいため、根本的な治療は手術になります。当院では、院長が近隣の病院で手術を施行しているため、脱臼を繰り返している方は受診にてご相談下さい。

手術方法としては、関節鏡視下で脱臼を防ぐ組織である関節唇の修復を行う「Bankart(バンカート)修復術」が行われます。手術後も肩関節に強い負荷のかかるラグビーやアメフトのような競技に関しては、上記の手術法では再脱臼を起こす確率が高まるために烏口突起という肩甲骨の一部の骨を使って手術する「Bristow(ブリスト)法」を行う方法もあります。以下は当院の治療の流れになります。

スポーツ復帰

手術後はリハビリが大切になりますが、術後3ヵ月までは再脱臼を起こしやすい動きはリハビリの時や日常生活でも注意することが必要です。スポーツ競技にもよりますが、一般的な競技復帰に関しては約6~8ヵ月が必要になります。脱臼は急性外傷によって引き起こりますが、競技スキルや身体機能の問題も影響していることが多いです。特にラグビーのタックルのスキルの影響は大きいです。そのため、競技復帰に向けたリハビリでは背骨の動きを改善することや肩甲骨の固定性や腱板(インナーマッスル)の強化をしっかり行い、不安感なく競技復帰出来ることを目標に行っていきます。