痛みとうまく付き合うために(2)

こんにちは、ぜんしん整形外科の理学療法士の藤田です。

前回は痛みとうまく付き合うためには、「普段行っている運動があなたの身体に合っているか?を考えることが重要」との内容でお話ししました。

気になる方は確認してみてください。

痛みとうまく付き合うために

今回も痛みとうまく付き合うためのお話しをしようと思います。

そもそもなぜこんなに痛みとうまく付き合うことを伝えたいのか。

それは痛みに対して正しい対応をすると、大雑把に言うと“人生が豊かになる”からです。いきなり“人生が豊かになる”は飛躍しすぎましたが、もし普段生活の中で感じている痛みが全く無くなったとしたら、心も身体もストレスが減り前向きな気持ちになれると思います。それは“人生が豊かになる”の一歩目です。

そのため、これを読んで頂いている方には、痛みに対して正しい考えを持ち対応してほしいと思ってます。

痛みのメカニズム

一般的に痛みを感じると交感神経が優位になったり、運動神経が興奮したりして、筋肉の緊張が高くなります。そこから血行が悪くなり痛みを感じる物質が分泌され痛みを感じやすくなってしまいます(図1)。その状態が続くことで痛みの閾値が下がり痛みを感じやすくなり慢性的な痛みになってしまうこともあります。

図1 痛みの悪循環

痛みがあるときの対応として、重要なことは“痛みの出る動作はしない”ことです。また、生活上どうしても痛みが出てしまう場合は、以下の例も参考にして“痛みを出さないように気をつける”ことも必要です。

そこで日常生活の中での腰痛を例に痛みを出さないようにするポイントを抑えていこうと思います。

腰の解剖

まずは腰の簡単な解剖(図2)を確認していきます。腰の骨と骨の間に椎間板というクッションがあります。また背中側の突起の間に椎間関節があります。椎間板は水分を多く含む組織で腰椎への負荷に対して緩衝材のような働きをします。ただ加齢や過負荷によって、水分が少なくなり薄くなってしまうことがあります。そうなると前屈や腰を反る動作で腰の痛みが出やすくなり生活動作で腰痛が起こることがあります。それを踏まえた上で、洗濯物を干す動作の中での腰痛を例に見ていきましょう。


図2 腰椎の簡単な解剖

洗濯物を干すときのポイント

腰痛1

洗濯カゴから洗濯物を取ろうとして屈むときに腰が痛くなる場合は、洗濯カゴをテーブルや台など高いところに置き、なるべく屈まないように工夫しましょう。

この屈む動作では椎間板内圧の上昇(図3)や腰の筋肉が伸ばされることで痛みが出てしまう可能性があります。


図3 椎間板性の腰痛

腰痛2

洗濯物を干そうとして手を高く上げるときに腰が痛くなる場合は、竿を低くするなど高いところに干さないよう環境調整して腰を反らないように工夫しましょう。

この腰を反る動作では、腰の椎間関節の圧上昇により痛みが出やすくなります(図4)。


図4 椎間関節性の腰痛

上記は一例ですが、ここで伝えたいことは日常生活の中で痛みを感じる動作がある場合は痛みを出さないように気をつけましょう!ということです。日常生活の痛みを出さないようにするだけで図1のような悪循環のサイクルに入らなくなります。また痛みを繰り返し出してしまうと、炎症が長引いてしまったり組織損傷の治癒を妨げてしまったりします。痛みを繰り返しても良いことはありません。このように痛みを長引かせないために普段感じる痛みを出さない工夫をすることはとても重要です。

皆さんも痛みを感じて気になることがあったら、痛みを出さないように工夫して対応していきましょう。

最後まで読んで頂きありがとうございました。