10月20日 ~とあるクリニックの整形外科医の骨の話 骨粗鬆症編(3)~

副院長の丸田です。

10月20日は何の日かご存じでしょうか? 

と、質問形式で書きだしましたが勘のいい人は(よくない人も?)上のブログのサブタイトル“骨粗鬆症編(3)”と書いてあるのでだいたいどういうの日なのか想像ついてしまうかもしれません。
ただ正解を書く前に、他に10月20日がどういった日になっているのか調べてみました。するといろいろでてきました。

まずは「リサイクルの日」。数字の10をひと回り、20をふた回りと見立て、1990年に日本リサイクルネットワーク会議が制定したそうです。

次に10(トウ)20(ハツ)ということで日本毛髪科学協会「頭髪の日」に、全日本ブラシ工業協同組合「ヘアブラシの日」に制定しているそうです。

他も見てみると同じように語呂系が多く、中には医療に関する日もありました。

まずはとう(10)つう(2)ゼロ(0)ということで「疼痛ゼロの日」です。残念ながら解散してしまったのですが、本当に必要かつ正しい情報をより多くの人に提供し、疼痛治療の発展に寄与することを目的として医療従事者が設立した「Japan Partners Against Pain®: JPAP®」が制定していました。

次に日本褥瘡学会が提唱している「とこ」(10)とず(2)れ(0)の語呂から「床ずれ予防の日」。日本じょくそう学会は、「床ずれ予防の日」を中心とした期間に、一般の方にもこの病気に対する理解を深め、適切な予防・管理のための情報提供やさまざまな活動を展開しているそうです。


話がそれますが、10月20日という日を調べていくと、日本医学の発展においてとても需要な人物の誕生日でもありました。歴史の教科書にも載っている杉田玄白の誕生だったのです。
NPO法人杉田玄白・小浜プロジェクトのホームページを見ると“ 前野良沢、中川淳庵とともに、江戸小塚原(こづかっぱら)で行われた刑死体の解剖に立ち会ったとき、持参していたオランダの医学書「ターヘル・アナトミア」の解剖図の正確さに驚き、翻訳を決意し、「解体新書」を完成させた” とのことです。解剖学は整形外科医や理学療法士にとってとても重要なものです。このような大変な仕事を成し遂げるなんて、とても熱い情熱を持った人だったのかなあと想像してしまいます。

すみません、杉田玄白に話がそれてしまいましたが、こうして“~の日”を見ていくと、10月20日はいろいろな記念の日となっているのが分かったのと、どれも何となく語呂にあわせて作った日ではなく何かを「世界に発信したい、皆に知ってもらうんだ」という熱い思いが込められていると感じました。

そして私がこの記事を書いているのも、骨粗鬆症のことを皆様にもっと知ってもらいたいからです。引き延ばした割にサプライズはなく、ほぼ答えも先に書いてしまいましたが、毎年10月20日はそう、骨粗鬆症の日世界骨粗鬆症デー(World Osteoporosis Day)です。

世界骨粗鬆症デー(WOD)は、英国骨粗鬆症学会が1996年10月20日に骨粗鬆症の啓発を目的に創設しました。それを1997年に国際骨粗鬆症財団(IOF)が引き継ぎ、「世界から骨粗鬆症による骨折をなくす」ことを目標に地球規模で展開しているものです。日本でも骨粗鬆症財団が2008年より日本国内での世界骨粗鬆症デーの啓発ポスターの作成、市民公開講座の開催などの活動を行っています。今年の啓蒙ポスターを下に載せましたが、最近たくさん聞いた“密”というワードを使っていますね。

骨粗鬆症財団のホームページでは骨量測定推進動画(洋画トレーラー編/骨と健康編)を見ることがでます。どちらも1分もない動画ですし、特に洋画トレーラー編はとてもインパクトがありますので忙しい方もぜひご覧いただければと思います。

また、昨年12月より国内薬剤メーカーが骨粗鬆症の疾患啓発活動 『骨検ほねけん-骨にも検診プロジェクト- 』というものを始動しています。この取り組みの一環として、10月20日の世界骨粗鬆症デーから骨粗鬆症の疾患啓発活動「骨検週間」というのが行われていました。タレントの松本伊代さんらが出席したイベントはニュースになっていたので記憶にある方もいるかもしれません。松本さんは胸椎の圧迫骨折をしていたと記事に出ていました。

 

ではなぜこんなに骨粗鬆症についての啓蒙活動が行われているのか。その理由の一番は、何より骨粗鬆症が怖いからです。ブログ骨粗鬆症編(1)に詳しく書きましたが骨粗鬆症は自分で気付くのが難しく、知らないうちに骨が脆くなりその結果骨折してしまうと予後にまで影響するのです。そこで骨折する前の骨密度検査が大事になってきます。
検査に関してはブログ骨粗鬆症編(2)に書いていますが骨の検査の方法にはいろいろあり、気軽にできるのですが、診断はできても治療効果の判定には向いていないものやあくまでスクリーニングで診断確定には用いられていないものもあります。

ではどんな検査がいいかというと、骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインには腰椎(背骨の腰の部分)と大腿骨近位部(太ももの骨の付け根)の両方を、エックス線を用いるDEXA(DXA法)で測定することが望ましいとなっています。当院ではこのガイドラインで推奨されているDEXA法で腰椎・大腿骨近位で測定可能な機器を使用しています。

少しでも自分の骨のこと、未来のことが気になったら、まずは当院に御気軽に受診していただければと思います。そうでなくても10月が来たら、「今頃のことを書いてあったブログ読んだことあるなあ。」「なんの日だっけ。杉田なんとかと骨の事だっけ。」「そうだ、骨って大事だったな。」など少しでも自分の骨の事を気にかけて頂ければ幸いです。