PRIセミナー開催と呼吸について

この度ブログを担当させていただく理学療法士のT.Sです。

2022年1月9日・10日の二日間に渡って、当院でPRIセミナーを開催しました。

PRI(Postural Restroration Institute)とは非対称になっている身体を呼吸のエクササイズを通して非対称の身体の改善、身体機能を統合していこうという治療アプローチになります。(かなりシンプルに噛み砕いて説明しています。実際はかなり奥が深い治療アプローチですので興味がある方はWebサイト〔PRI Japan〕をご覧ください。)

今回はこのPRIとそのエクササイズ、そしてエクササイズによる鼻呼吸の効果について書きたいと思います。

当院からは5名のスタッフが参加しました
※写真撮影時のみマスクを取り外しています

 

Copyright © 2000-2021 Postural Restoration Institute®Used with permission from PRI Japan LLC

1.PRIとは?

アメリカの理学療法士であるロン・ハラスカという方が創始者の団体です。

日本では2015年にPRI Japanの3名の方々がご指導を開始しました。

PRIはプラマイマリーコース(初級)として現在3つのコースがあります。

  • マイオキネマティック・リストレーション腰椎骨盤大腿部の病態力学に対する統合的アプローチ
  • ポスチュラル・レスピレーション胸腹部の病態力学に対する統合的アプローチ
  • ペルビス・リストレーション:恥骨仙骨部の病態力学に対する統合的アプローチ

こちらのプライマリーコース3つを受講すると、当院でも主催をさせていただくセカンダリーコース(上級)の受講が可能となります。

  • インピンジ&インスタビリティ:様々な関節で起こる「インピンジメント症候群」や「不安定性症」の背景にある、インピンジメント(衝突・圧迫)とインスタビリティ(不安定性)の関係性と必要性

※以下URL、現在当院主催の5月、7月主催のセミナーは満席ですが、キャンセル待ちを受け付けております。

「人体は左右対称ではない。神経系、呼吸器系、循環器系、運動器系、そして視覚器等、身体の左側と右側は非対称に位置し、個々に責任、機能、そして需要がある。この左右非対称の人体デザインは素晴らしいものであり、人体はこれらシステムの不均衡をインテグレーション(統合)することによってバランスが保たれている 。」
マイオキネマティックリストレーションPⅧから引用
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PRIの基本コンセプトは、「人体は左右対称ではない」という考えから、その非対称性から生まれた身体の代償的なパターン(本来適していない身体の使い方のパターン)から抜け出す。身体をニュートラル(真ん中)へ導き、ニュートラルに戻したところから身体の機能を高めていこうというものです。

例えば、多くの人が左の骨盤は前に倒れて開いている(図1)、もしくは両方の骨盤が前に倒れて開いてる姿勢(図2)になっています。(個人差はあります。)

本来であれば、左右差が生まれやすい身体をバランスよく保てれば良いのですが、図1の状態であると立っている時、座っている時に右重心で生活をすることが多くなります。その非対称性のパターンから抜け出せなくなると、特定部位の過剰な使用や不使用の度合いが大きくなり身体のバランスが崩れ、どちらか一方に負担がかかってしまいます。腰は右を向いた姿勢なので負担が多くなることが想像できると思います。

図1 左が前に倒れて開いている骨盤
図2 両方とも前に倒れて開いてる骨盤

ペルビス・リストレーションテキスト本編P 11、27引用
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左右非対称が悪というわけではなく、振り子のようにどちらの重心にも振り幅をもって身体を使えると良いです。

2.PRIエクササイズ

今回はお家でもできるPRIのエクササイズをお伝えしたいと思います。
※可能であれば専門家による身体の評価を受けてからのエクササイズをお勧めします。

90-90 ヒップ・リフト w/ ヒップシフト

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マイオキネマティックリストレーション付録P2から引用一部改変

  1. 仰向けで両足を壁につけて、両膝と両股関節を90°に位置する
  2. 10~15cmのボールを膝の間に挟む
  3. 鼻から息を吸い、口から吐く。息を吐くときにお尻が1~2mm地面から離れるように骨盤を傾ける。
    この時、腰は地面に対して平らに保っておく。若干高い位置になるようにする。
  4. 骨盤の傾きを保ちながら、左股関節を下に、右股関節を上にそれぞれシフトし右膝が左膝より若干高い位置に位置する、
  5. 右大腿部をゆっくりと胸に近づけたり、離したりする。このときに左ももの裏側と内ももの筋肉群に活性化されるのを感じる
  6. 10回を3.4セット、日に1.2回行う

3.鼻呼吸をすると何が良いか?

上記のPRIのエクササイズは、骨盤や大腿骨(太ももの骨)の非対称性を改善するために有効です。

また、コロナによるマスクやストレス等による影響で多くの人が口呼吸で呼吸数も多く交感神経優位になっています。エクササイズでの鼻呼吸で横隔膜を動かすことにより、副交感神経が優位になり身体に対して多くのメリットが生じます。

以前ブログ〔睡眠の重要性〕でも紹介しました睡眠の質の向上、内臓のマッサージ効果や食べ物の消化・吸収は副交感神経が役割を担っているため排便にも効果的です。

その他鼻呼吸の利点(ほんの一例です…)

  • 心拍数を下げる(副交感神経優位)
  • 一酸化窒素が肺に送られ、気道と血管が広がる(鼻の奥の副鼻腔という器官で、一酸化窒素が作られます。一酸化窒素は、殺菌作用や気管や血管拡張作用があリます。)
  • 酸素が全身に効率的に行き渡る(疲労物質の乳酸減少)
  • 口の渇きやのどの乾燥を防ぐ(口を閉じるので)
  • 唾液の分泌が多くなるので、口の中の殺菌効果が高まる(口を閉じるので唾液が乾かない)
  • いびきの軽減・予防
  • 基礎代謝が上がり、痩せやすい身体になる

4.最後に

今回、開催をさせていただいのは恥骨仙骨部についてのセミナーでしたがアスレティックトレーナー、鍼灸師、あん摩マッサージ師、柔道整復師、歯科医師、理学療法士といった様々な医療職種が集まった素晴らしいセミナーとなりました。

専門的な知識も多く、分かりにくいブログだったと思いますが、当院ではスタッフ間でセミナーの伝達講習を行っています。わからないことがあれば、担当理学療法士にご気軽にご質問してください。

最後までご拝読いただきありがとうございました。

現在、当院開催のPRIセミナーは満席ですが、随時キャンセル待ちを受け付けております。ご興味のある方は是非ご参加をご検討ください。
PRI Japan
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